(2023/10/11 17:00)
10日に障害が発生した銀行間送金システム「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」は11日も継続し、11の金融機関で通常の他行宛ての振り込み取引ができない状況となった。三菱UFJ銀行は取引先への影響を防ぐため、今回の障害で残高不足になり約束手形が決済できなくても不渡りとして認定しない措置を決めた。
全銀システムを運営する全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット、東京都千代田区、辻松雄理事長)は11日午前、復旧のめどが立っていないことを発表。前日に続き、バックアップ手段を用いて振り込み取引の処理を行った。ただ通常と異なる手段のため、処理に時間を要している。
他行宛ての振り込みに影響が出たのは三菱UFJ銀のほか、りそな銀行、三菱UFJ信託銀行、埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、山口銀行、北九州銀行、日本カストディ銀行、JPモルガン・チェース銀行、もみじ銀行、商工組合中央金庫。10日には少なくとも約140万件の送金に影響が出ていた。
少しずつ振り込みが処理されているが、企業への影響は避けられない。約束手形が決済されずに不渡りになるリスクに加え、当座貸越サービスの利息負担の問題もある。同サービスは、引き落とし時に当座預金口座の残高が不足した時、資金を自動で貸し付けるもので、着金がなかった企業は同サービスを使って利息が発生している可能性がある。
三菱UFJ銀は手形不渡りへの特例措置に加え、障害により同サービスで生じた利息についても受け取らないことを決めた。また、他行を通じて振り込んだ場合の手数料については差額を負担する方針。このほか、りそな銀行も取引先への影響を踏まえ「顧客に迷惑がかからないよう真摯(しんし)に対応する」とした。
復旧までの期間が長期化すると、逸失利益の問題も浮上する。着金ができず商談が不成立になるなど、事業活動への影響が危惧される。早期の全面復旧が待たれる。
(2023/10/11 17:00)
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