インタビュー/住友重機械ファインテック社長・古川竜治氏 熟練技能士減、自動化ニーズ応える

(2023/10/11 12:00)

住友重機械ファインテック(岡山県倉敷市)は、研削盤と切削液処理装置を主力とする。特に研削盤は、工作機械部品などを仕上げる大型機が得意。技能伝承や海外展開などについて古川竜治社長に聞いた。

―製品の特徴は。

「研削盤は、門型機を60年やってきた。用途は工作機械や液晶・半導体製造装置のベッドなど。より小型の機種でも片持ち型から門型に変えるニーズが増えており、モーターの鉄心用金型の仕上げなどに使われている」

―製品の精度を決める重要な機械ですね。

「その部品を加工する機械以上の精度は出せないという“母性原理”が工作機械にはある。基本は(摺動〈しゅうどう〉面を人手で削る)キサゲや、すり合わせの技術。50年、60年と使う一生ものの機械を納める気持ちでモノづくりに取り組んできた」

―技能伝承の取り組みは。

「仕入れた部品を組んだだけではモノにはならず、組み立て技能者の暗黙知が必要。形式知にする努力はしているが、教えられないものもある。オン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)で先輩が指導する。入社して3年たつと工程の一部を任せ、技能士資格も取得させる。全ての工程を任せるには10年はかかる」

―研削盤には、使いこなすのが難しいイメージがあります。

「顧客のワーク(加工対象物)をどう高精度・高効率に削れるかという研削ノウハウの蓄積があってやってこられた。材質が違えば砥石(といし)も加工条件も違うので、一つひとつ覚えていくしかない」

「顧客の工場でも熟練技能者が減って自動化ニーズが高まっている。砥石やワークの自動交換装置にも高い精度が必要で、当社が強い領域。装着率が上がってきている。ただ、研削は最終工程のため、不具合があると手戻りが大きい。自動化装置を使う側にも思い切りが必要になる」

―これから力を入れる領域は。

「2020年後半から22年までは需要が戻ってきていたが、今は踊り場で、工作機械業界のプロジェクトが止まった感がある。中国には工作機械メーカーが多く、納入実績もある。コロナ禍で商談ができなかった分を取り返していきたい」

(2023/10/11 12:00)

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