(2023/10/11 12:00)
プラスチック製品を手がけるアスカカンパニー(兵庫県加東市、長沼誠社長)は、社員が働きやすい職場環境を追求している。子育てなどで時間的な制約のある女性も正社員として働ける取り組みを始めたのは2008年。女性が働きやすい環境を整えると「男性も働きやすい会社にすべきだ」との声が生まれた。現在は性別を問わず、誰もが働きやすい企業への改革を進めている。
アスカカンパニーは1968年に設立。プリンの容器をはじめ食品や医療品に使われるプラスチック製品の製造などを手がける。薄肉化が得意で厚さ0・3ミリメートルの成形技術を持つ。社員の男女比は6対4。製造や品質管理といった現場で活躍する女性も多い。
人材確保に不安を覚えたことを機にダイバーシティー(多様性)推進の取り組みを始めた。当時、会社の成長を見込む一方で、自社拠点の周辺地域では若者の流出が課題になりつつあった。地元ではパートやアルバイトとして働く女性が多かったことから「時間的な制約がある女性でも、正社員として働ける会社」(門脇弘朋取締役管理本部長)を目指して改革に乗り出した。
まず、就業時間を柔軟に設定できるようにした。時短勤務はもちろん、始業や終業時間を10分ずらす設定にも応じる。現在は約200人の現場社員のうち40人ほどが柔軟な勤務体制で働いている。
15年には社員同士が業務を共有する体制も導入した。サポート役としてメーン業務とは別の仕事を兼任する「マルチタスク社員」を配置。一つの業務を2人で担当するため、時短勤務の社員が不在でも業務が止まらず、ほかの業務にも支障が出ない。兼任社員はジョブ型給とすることで制度を確立している。「社員同士助け合う気持ちが生まれた」(同)ことで、残業がマルチタスク導入前の半分に減るなど生産性も向上した。
業務の改善活動もダイバーシティーの取り組みに好影響を与えている。同社の改善活動は現場の全社員が半年間かけて実施している。こうした積極的な活動は現場改善を追求する意識を育むとともに「働き方の改善を前向きに捉える企業文化」(同)の醸成にもつながった。現在は社員自らが働きやすい環境づくりを模索している。
(2023/10/11 12:00)
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