(2023/10/25 05:00)
三菱自動車は24日、中国での車両生産から撤退すると発表した。現地販売も在庫が切れ次第終了するとみられる。スポーツ多目的車(SUV)などのガソリン車を中心に生産していたが、中国では急速に電気自動車(EV)化が進み、現地販売が大幅に減少していた。他の日系完成車メーカーもEV化の出遅れで苦戦を強いられている。日系メーカーは国際競争力の高いEVの開発や、全固体電池の実用化などで世界をリードし、EV市場で巻き返しを図りたい。
三菱自動車は2012年に中国に合弁会社を設立し、現地生産を始めた。18年度に約14万台だった中国での販売台数は22年度に約3万台に落ち込み、23年3月には在庫調整のため生産を停止していた。三菱自は東南アジアの開拓に力を入れるものの中国メーカーが存在感を高めている。三菱自など日系メーカーはアジア戦略を強化し、中国メーカーの勢いを緩和したい。
日系メーカーは総じて中国市場で販売台数を減らしている。トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、マツダの1―8月の販売台数は前年同期比で5―38%減とそろって減少。中国EVメーカーや米テスラによる価格競争も日系車不振の背景にある。
中国では価格競争を主因に、新興のEVメーカー、威馬汽車が経営破綻するなど淘汰も進みつつある。破綻した中国メーカーの車が放置されたままの“EV墓場”も指摘され、EV市場への参入企業の多さを物語る。
中国汽車工業協会によると、22年の中国の新エネルギー車(EVとプラグインハイブリッド車)の販売台数は前年比93・4%増で車全体の25・6%を占める。中国は政府の補助金を受けて価格競争を優位に進めているとされ、欧州連合(EU)は中国製EV車と中国政府による補助金の関係を調査している。不当な廉価が確認されれば相殺関税を課すという。反発する中国は欧米を見据え、EV電池材料となる黒鉛の輸出規制を発表した。中国での急速なEV化と同時に、日米欧のEV化を遅らせかねない中国政府の規制の動きも警戒し、対策を講じたい。
(2023/10/25 05:00)
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