(2023/12/15 17:00)
国立天文台の鳥羽儀樹特任助教らは15日、100億―110億光年先(1光年は光が1年間に進む距離)に塵で包まれた銀河「ドッグ」を571個発見したと発表した。ハワイ島のすばる望遠鏡と米国の赤外線天文衛星の観測データを活用。発見したドッグには塵を吹き飛ばして青く輝く「ブルドッグ」が8個含まれ、ブルドッグのガスが外向きに流れていることが分かった。銀河の中心で明るく輝く天体「クエーサー」の形成過程の解明につながる。
信州大学と早稲田大学、愛媛大学との共同研究。成果は、天文学系の国際科学誌に掲載された。
すばる望遠鏡に搭載された超広視野主焦点カメラ(HSC)で得た可視光線と米赤外線天文衛星の中間赤外線の観測データを解析。クエーサーの形成過程で重要となるドッグやブルドッグの発見だけでなく、米ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が発見した120億―130億光年先に赤色の新種の天体「ERO」がブルドッグと似た特徴を持つことを明らかにした。宇宙が誕生して間もない時期にブルドッグが存在し、クエーサーに進化したと見られる。
クエーサーはガスが豊富な銀河同士が合体して銀河中心の巨大ブラックホールが塵に包まれた後、重力で落ち込むガスの放射が塵を吹き飛ばすことで形成されると考えられている。だが形成過程は短時間であり、可視光線では暗くて捉えにくいため観測できないという課題があった。
(2023/12/15 17:00)
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