(2023/12/27 12:00)
三芳合金工業(埼玉県三芳町)は、特殊銅合金一筋のメーカー。高付加価値の素材を航空・宇宙や半導体、核融合をはじめとするエネルギーなど幅広い業界に提供する。一方で大家族経営を掲げ、多様な人材が高め合う職場づくりを実践する。萩野源次郎社長に今後の方針を聞いた。
―先端産業を支える技術力が強みです。
「鍛造設備や熱処理設備を持ち、自社で一貫生産している。研究開発に力を入れ、社会の課題や要求に素材の特性で対応している。短納期、少量多品種生産などを武器に世界市場で戦っていく」
「2020年に鍛造プレス機を増強し、23年は熱処理炉を増設し生産能力を高めた。また製造・開発に人工知能(AI)を導入した。合金の組成や製造条件などで活用し開発の迅速化や歩留まり、性能向上につなげたい」
―注力する分野は。
「次世代エネルギーとして注目される核融合だ。南仏で建設が進む核融合実験炉『ITER(イーター)』では、欧州研究機関フュージョン・フォー・エナジー(F4E)から重要機器のダイバーター用に銅・クロム・ジルコニウム合金の管や板の受注を拡大し、マイクロ波製造装置材料も受注した。核融合で発展させた技術を粒子加速器など他業界にも展開したい」
―人材戦略は。
「シニアや若手、女性、外国人ら多様な人材が活躍している。最高齢は88歳で、ベテラン社員が若手社員を教育し、技能伝承している。海外に販路拡大を目指す中で、外国人材の採用も積極的に進めており、全社員の約1割を占める。わが社の強みはチームワーク。社会や環境が変化しており、人材、資材を再構築・再編成して対応していく」
「技術向上のため、毎月定例の技術検討会を開いているほか、人間力の向上を目指し『禅と論語の勉強会』や、年に1度プロの演奏家を招いた音楽会を開催している。社員一人ひとりが人間的に成長すれば、自然と会社も成長する。『売上至上主義』『利益至上主義』が一般的だが、当社は人間的成長をテーマにした『成長至上主義』を掲げている。生まれ変わっても、もう一度この会社で働きたいと思える会社づくりを頑張っていきたい」
(2023/12/27 12:00)
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