産業春秋／経済指標にウェルフェアを

「ウェルフェアを追求する経済政策の考え方は、今年（２０２３年）のＧ７（先進７カ国）財務大臣・中央銀行総裁会議で参加国みなの合意を得た」。財務省の神田真人財務官は、２１日の日本記者クラブでの会見で成果を披露した。

ウェルフェアは福祉や幸福、健康、安全な状態を指す。近年、企業経営が環境やデジタルへの取り組みで評価されるように、国の豊かさを多面的に捉えるのは理にかなう。

神田財務官は５月に新潟で行われた同会議の議長を務めた。国内総生産（ＧＤＰ）では「無料のデジタルサービスなどは計上されない」。一方で、有害な薬物の売買なども計上され得る。そうした限界への対応として提示した。

検索サービスや動画配信サービス、シェアリングエコノミーなど無料のデジタルサービスの恩恵は広く受けられるようになっているが、そこから生まれる価値は捉えられていない。１９年版の情報通信白書でも、デジタル経済の計測をめぐる議論が記載されている。

ウェルフェアの考え方は「（２４年のＧ７議長国）イタリアも優先議題に挙げている」。参加各国はそれぞれにＧＤＰを補完する指標を活用し、政策の事前・事後評価に取り入れていくことになる。