【早読み特選】日大・筑波大が核融合新興 VCから7000万円調達

(2024/1/11 17:00)

  •     筑波大のプラズマ実験装置

日本大学と筑波大学の研究者が核融合スタートアップ、LINEAイノベーション(リニアイノベーション、東京都港区)を立ち上げた。このたびベンチャーキャピタル(VC)のANRI(東京都港区)から7000万円の資金調達を実施した。米マイクロソフトと電力売買契約を結んだ米ヘリオン・エナジーなどと似た方式による核融合発電の実用化に挑む。

リニアイノベーションは日本大学理工学部の浅井朋彦教授と筑波大学プラズマ研究センターの坂本瑞樹教授が共同創業した。日本大学で研究する磁場反転配位(FRC)型と筑波大学のタンデムミラー型の核融合方式の知見を使い、核融合発電の実現を目指す。また、重水素と三重水素(トリチウム)による一般的な核融合反応ではなく、軽水素とホウ素など中性子が発生しない燃料による核融合反応を狙う。

FRC型は閉じ込め性能が高い高エネルギーのプラズマを作ることができる。タンデムミラー型は電位の壁によってプラズマを閉じ込める。

一方、FRC型は閉じ込め磁場が小さいため、核融合反応が効率良く起きる温度にプラズマを加熱させる装置(NBI)のビームイオンの閉じ込めには向かない。タンデムミラー型ではコアになるプラズマの密度を高めることが難しかった。

そこでリニアイノベーションはFRC型とタンデムミラー型を組み合わせ、課題を解決する。核融合反応を起こす部分をFRC型が、ビームイオンの閉じ込めをタンデムミラー型が担い、役割を分離する。これまでのお互いの弱みを補完しあうことで、中性子が発生しない核融合発電を目指す。浅井教授は「開放系の装置を使うことで、メンテナンスなどもしやすくなる」と想定する。

米国ではFRC型を採用するスタートアップは多い。米ヘリオン・エナジーやTAEテクノロジーズなど、複数の企業が研究開発のしのぎを削る。リニアイノベーションは後発になるが、「筑波大と日大の技術の蓄積がある。そこまで大きな差があるとは考えていない」(浅井教授)。坂本教授は「TAEテクノロジーズなどが実践している技術なども活用しながら実現を目指す」と力を込める。

(2024/1/11 17:00)

総合1のニュース一覧

おすすめコンテンツ

「現場のプロ」×「DXリーダー」を育てる 決定版 学び直しのカイゼン全書

「現場のプロ」×「DXリーダー」を育てる 決定版 学び直しのカイゼン全書

2025年度版 技術士第二次試験「建設部門」<必須科目>論文対策キーワード

2025年度版 技術士第二次試験「建設部門」<必須科目>論文対策キーワード

技術士第二次試験「総合技術監理部門」択一式問題150選&論文試験対策 第3版

技術士第二次試験「総合技術監理部門」択一式問題150選&論文試験対策 第3版

GD&T(幾何公差設計法)活用術

GD&T(幾何公差設計法)活用術

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン