(2024/1/12 05:00)
11日の東京株式市場は3万5000円台を突破し、1990年2月以来、約34年ぶりの高値を付けた。米株高と円安、さらに生成人工知能(AI)の普及に伴う半導体市場への回復期待が背景にある。半導体の復調は日本の工作機械需要なども後押しするだけに、2024年の世界半導体市場が予測通り過去最大を更新すると期待したい。
11日の東京外国為替相場の円相場は1ドル=145円台の円安で推移した。能登半島地震を受け、日銀による1月の金融緩和の修正は見送られると市場は読む。日米金利差を意識した円安は、日本の輸出関連銘柄の株価を押し上げる。バブル崩壊前の最高値3万8915円に迫るのか、今後の相場を注視したい。
生成AIや電気自動車(EV)の普及を見据え、半導体関連銘柄に買い注文が出ている。世界半導体市場統計(WSTS)によると、24年の半導体市場は前年比13・1%増の5883億ドル(約85兆円)と予測する。23年はコロナ禍の巣ごもり需要の反動減でパソコンやスマートフォン向けが振るわず、前年比9・4%減と落ち込んでいた。
24年は生成AIを活用したサービスの本格化や、ガソリン車の2倍以上の半導体を使うEVの普及も需要を押し上げそう。日本工作機械工業会(日工会)は半導体関連などの需要を年後半に見込み、24年の受注額が前年を上回ると見通す。半導体の復調が幅広い業界の収益向上に寄与することが期待される。
足元の株価上昇は、上場企業の自社株買いが進んだためとの指摘もある。株価純資産倍率(PBR)1倍割れを回避するための資本効率の改善と株主還元を市場は好感しているという。だが米国は22年に自社株買い課税を導入し、賃上げや投資に回るべき資金が株主に向かっていると懸念を示した。日本も中長期の視点で、従業員らに目配りした利益配分が求められる。
今後の株価は米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げに左右されやすく、日米金利差が縮小すれば円高が進みやすい。24年は内需主導の成長でデフレと決別し、株価を下支えしたい。
(2024/1/12 05:00)
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