(2024/1/18 05:00)
2024年春季労使交渉(春闘)は、大企業による意欲的な回答はもとより、中堅・中小企業の賃上げにも期待したい。政府は、中堅企業の給与総額や従業員数の伸び率が大企業を上回っているとして、成長に期待し優遇税制を講じる。一段の賃上げを促すか注視したい。他方、中小企業が労務費の増額分を価格転嫁できれば賃上げのすそ野が広がる。経団連も大企業に価格転嫁の協力を求めており、賃金と物価がともに上昇する好循環が回り始めると期待したい。
経団連は16日、24年春闘における経営側の指針を発表した。前年の大企業の賃上げ率3・99%を上回る賃上げを目指し、ベースアップ(ベア)も「有力な選択肢として検討することが望まれる」とした。連合は5%以上の賃上げ率、うちベア3%以上を目標に掲げる。すでに7%の賃上げ方針を表明した大企業もあり、どこまで連合の目標に接近できるかが焦点になる。
中堅企業の一段の賃上げが期待される。政府は従業員2000人以下の企業を「中堅企業」と法的に定義し、重点的に支援する。地方の雇用を支える中堅企業の役割に期待しており、26日召集予定の通常国会に産業競争力強化法改正案を提出し、設備投資やM&A(合併・買収)に優遇税制を講じる。24年度に改正する賃上げ促進税制も中堅企業枠を設け、大企業より適用要件を緩和する。賃上げの誘因となるか行方に注目したい。
日本の従業員数の7割を占める中小企業の行方も春闘を左右する。人材確保に向け、やむを得ず「防衛的賃上げ」を行っているものの、実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済が4月に再びピークを迎えるなど、無理な賃上げにも限界がある。経団連が示した24年春闘の経営側の指針通り、大企業が価格転嫁に協力することが中小の賃上げには欠かせない。大企業が取引適正化をどこまで実現するかが問われる春闘になる。
他方、政府の中小企業政策は資金繰り支援から事業再生支援に移行しつつある。持続的な賃上げが可能な事業基盤に変革する自助努力も中小に求めたい。
(2024/1/18 05:00)
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