SCM、誰もが学べる時代に オンライン講義普及

(2024/1/31 12:00)

  • 鉛筆のサプライチェーンの全体像を明らかにした谷川俊太郎の短編『一本の鉛筆のむこうに』

「サプライチェーン・マネジメント(SCM)はどこで学べるのか」。いまや常態化した観のある供給網の混乱を背景として、そのような声を耳にする機会が増えている。確かに国内では高等教育の場においてSCMが専門科目として設置されていることはまれだ。「学び直し」の観点よりSCM教育について考察してみたい。

「ポディマハッタヤさん」「トニーゴンザレスさん」という名前に聞き覚えはあるだろうか。詩人の谷川俊太郎の短編『いっぽんの鉛筆のむこうに』に登場する人物たちだ。物語では北米の森林でヒノキを伐採し、スリランカの鉱山で黒鉛を採掘する彼らの仕事と暮らしぶりが描かれる。そして多くの人の手を経て日本の小学生へと至る鉛筆のサプライチェーン(供給網)の全体像が明らかになっていく。この過程で「同僚」たちが互いを知らぬまま働いているというSCMの中核問題も示される。

この短編は1992年度・96年度・2000年度の小学4年生用国語教科書にも採録されていた(光村図書出版)。つまり、現在30―40歳前後のビジネスパーソンの多くが実は小学生の頃にサプライチェーンについて学ぶ機会を得ていたことになる。

もっとも、SCMの問題・課題を実感するのはビジネスの現場に立ったときだ。では、その学び直しの場はどこにあるのか。

SCMの本場、米国ではビジネススクールなどの社会人経験を入学要件とする教育プログラムの多くがSCM(あるいは「オペレーションズ・マネジメント」)を必修科目としてきた。標準化されたSCMの知識体系は、いまや世界中の実務家の共通言語となっている。これを学ぶ機会は長らく米国への留学・駐在の機会に恵まれたごく一部のビジネスパーソンにのみ開かれていたが、この10年ほどで状況が大きく変容した。大規模公開オンライン講義(MOOC)の普及により世界中の誰もが世界標準のSCMを学ぶことができるようになった。同時にサプライチェーン上のどこかで共に働いている「同僚」たちと共に学び得るものへと変容したのである。

(2024/1/31 12:00)

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