(2024/2/14 05:00)
2024年は東南アジア諸国連合(ASEAN)が実質成長率で中国を追い抜く見通しだ。ASEANは23年に減速した経済が24年に回復する一方、中国は経済減速が24年も止まらないと予測される。日本は経済安全保障の観点からもASEANの成長を取り込み、対中貿易の減少を補うことが求められる。
ただ、米国の利下げが後ずれすれば、ASEANは自国通貨安から輸出の回復が鈍るなどの懸念材料もある。日本は内需主導の成長を目指しつつ、ASEANと向き合う必要がある。
国際通貨基金(IMF)によると、ASEAN5カ国の24年の実質成長率は4・7%と23年の4・2%から回復する一方、中国は23年に5・2%だった成長率が24年は4・6%に減速すると予測。成長率でASEANが中国を上回ると見立てる。
ASEAN5カ国は22年後半から23年前半にかけて、米国の利上げに伴って自国通貨が減価し、インフレがピークを迎えていた。5カ国の中央銀行が金融引き締めに動いたことで内需が縮小し、輸出も世界経済の減速で停滞を余儀なくされていた。
24年はインフレ沈静化で内需が持ち直し、シリコンサイクルの回復なども追い風になる。ASEANは中国経済への依存度が高いが、最大の輸出先はASEANである。ASEANの景気回復は域内貿易を後押しし、輸出の回復が期待される。米国の利下げ時期などでASEAN経済の下振れが懸念されるものの、少なくとも中国経済より勢いがある。日本企業はASEAN市場の動向を注視したい。
IMFは、中国の不動産開発企業の再編が遅れると24年の実質成長率が3%台に低下するとも予測する。加えて中国の覇権主義的な動きを受け、23年版通商白書では、日本企業が最も重視する投資先が中国からASEANに入れ替わった。日本とASEANは23年12月の特別首脳会議で、経済と安全保障で連携を強化する声明も採択している。日本にとって中国はなお重要市場であるものの、国際秩序を維持する上でASEANとの関係を強化する意味は大きい。
(2024/2/14 05:00)
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