(2024/2/16 05:00)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業が開発した新型の大型基幹ロケット「H3」2号機が17日、鹿児島県種子島宇宙センターから打ち上げられる。初号機は2023年3月に打ち上げを失敗しており、今回の再挑戦で是非成功してもらいたい。従来機「H2A」の後継となる「H3」は、民間の商業衛星を受注して事業を継続させる運用を目指す。H3は商業受注で国際競争力のあるロケットと評価されるのか、今後を占う重要な一歩を注視したい。
H3は打ち上げ費用の削減、安全性の向上、打ち上げ回数の増加を目標に掲げる。輸送コストを従来の半額となる約50億円を目標とし、年間6回程度安定して打ち上げ、産業としての自立性を確保することを目指している。政府の衛星に加え、民間の商業衛星も積極受注できる体制を整え、宇宙開発をめぐる日本の存在感を高めてほしい。
14年に始まったH3の開発では、部品点数の削減や民生部品の利用などにより、低コストと安全性の両立を目指してきた。受注から打ち上げまでの期間短縮も進めた。H3が世界の発注者から、使いやすく低コストのロケットと評価される必要があり、宇宙輸送は技術開発にとどまらず事業開発が求められる。
H3初号機は第2エンジンが着火せず打ち上げに失敗した。原因究明に約7カ月を費やし、結論に確信を持てるまで徹底的に対策を検討したという。1月には「H2A」47号機から放たれた小型探査機「スリム」が月面にピンポイント着陸する偉業を達成している。H3も、日本の宇宙輸送を変える歴史的な第一歩を踏み出してほしい。
今回のH3の再挑戦では、初号機に搭載した地球観測衛星と同重量のダミー衛星と、二つの小型衛星を載せる。H3の運搬能力を確認しつつ、二つの衛星は地表の熱変化の観測や高感度撮影を担うという。これらミッションの完遂に期待したい。
3月9日にはキヤノン電子などが出資するスペースワンが同社初の小型ロケットを打ち上げる。米国先行の宇宙輸送ビジネスで日本も存在感を示したい。
(2024/2/16 05:00)
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