(2024/2/29 17:00)
【福島】福島大学の高橋隆行教授らは、開発中の水中を移動・観測する水中グライダー式ロボットの実用機を2026年度にも完成し、27年度に実証を行う。福島国際研究教育機構(F―REI、福島県浪江町)の委託研究に採用された。飯田製作所(横浜市泉区)、NECプラットフォーム(東京都千代田区)、協栄精機(福島県南相馬市)、SGKシステム技研(神奈川県茅ケ崎市)などが技術協力する。
湖底の泥などを採取して水面下の環境放射能濃度を調査するF―REIの委託研究に採択された。水中を翼で移動する水中自律型無人潜水機(AUV)で、目的水域でロボットを水深100メートル程度まで沈めて観測する。開発には福島大の環境放射能研究所も参加している。
ロボットはメーン制御装置、浮力調整器、スラスター、採泥器などの6モジュールで構成。アクリル、炭素繊維樹脂などを材料に重量30キログラム以下を見込む。ロボット全体と自己位置を確認するメーン制御や筐体(きょうたい)内の錘(おもり)を動かして姿勢を制御する技術を利用して安定移動する。
沈降・水面復帰のための浮力調整器は、飯田製作所がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で製作。厚さ0・5ミリメートルのPTFEで耐候性・耐薬品性に優れ、浮力調整にオイルを使わずに1ノット程度で長距離走行する軽いロボット筐体を実現する。また、高出力のプロペラ式スラスターで採泥に必要な推力を発生させ、160ミリメートルの深さで泥をサンプリングして浮上する。泥の巻き上げ対策も施す予定だ。
24年度はこれまで開発してきた要素技術を整えてシステムインテグレーションの基本設計を開始。実用ロボットを26年度後半にも完成させ、27年度に実証する計画だ。
(2024/2/29 17:00)
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