産業春秋／プーチン大統領の「誤算」に期待

ロシアのプーチン大統領には大きな「誤算」だった。北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）の勢力拡大を阻止するため、ＮＡＴＯに急接近するウクライナに侵攻したものの、軍事的に中立だったフィンランドに続いてスウェーデンもＮＡＴＯ加盟が決まった。

北欧２カ国の加盟によりロシアはＮＡＴＯとの緩衝地帯を失う。フィンランドはロシアと約１３００キロメートルの国境を接し、スウェーデンの加盟によりバルト海もＮＡＴＯ加盟国に囲まれる。欧州の安全保障強化に期待したい。

米議会は「もしトラ」に備えて保険をかけている。米大統領に再選されたトランプ氏がＮＡＴＯ脱退を言い出しかねないためだ。２０２３年末に成立した国防権限法は、ＮＡＴＯ脱退には議会上院で３分の２以上の同意などが必要とした。

トランプ氏は防衛費を十分に負担していないＮＡＴＯ加盟国は守らないとも語る。ウクライナ支援にも後ろ向きで、支援が滞ればウクライナがロシアに領土を割譲する形で終戦する事態も絵空事ではない。

プーチン大統領は、次期米大統領はバイデン氏の方が好ましいと語った。真意はトランプ氏支持であろう。プーチン大統領の真意が「誤算」となることを祈るばかりだ。