(2024/3/1 18:00)
スペースワン(東京都港区、豊田正和社長)は、9日にも小型ロケット「カイロス」初号機を打ち上げる。当初は2021年度内を予定していたが、4回の延期を乗り越え和歌山県串本町に整備した発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げに臨む。契約から約1年、衛星受領から4日という世界最短で年間20回ほど打ち上げる“宇宙宅配便”の事業化を目指す。
カイロスは日本が長年にわたって蓄積してきた固体燃料ロケットの技術を継承・活用した高い信頼性を持ち、部品点数を少なくすることで打ち上げ費用を低コスト化している。また専用の小型ロケットや発射場を持つことで、いつでもどの軌道にも打ち上げられる柔軟性を持つ。
世界では米スペースXをはじめとして民間の動きが活発化しているが、衛星の打ち上げ需要の急増で輸送機会が足りていない。小型衛星の輸送についてスペースXは大量に打ち上げられるが投入する軌道が限定され、米スペース・ラボは待機中の衛星が多い。
契約から世界最短での打ち上げや低コストでの提供ができれば、海外からの顧客の増加も見込まれる。東京大学の中須賀真一教授は「衛星の打ち上げ準備には受注者も現地で作業する。発射場の近くには外国人に人気の観光地もあり、地域の良さが国際競争力を加速させる可能性がある」とみる。宇宙輸送技術が世界中から求められる中で、和歌山県の特徴を生かして日本の宇宙開発の強化につながると期待される。
日本の宇宙輸送は政府系ロケットが主流。民間で宇宙空間に到着したのはインターステラテクノロジズ(北海道大樹町)のみで、スペースワンが成功すれば2社目となる。スペースワンの豊田社長は「より使い勝手の良い民間主導のロケットが必要。官から民へのきっかけにしたい」と意気込む。
(2024/3/1 18:00)
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