(2024/3/5 05:00)
4日の東京株式市場の日経平均株価は、初めて4万円の大台を突破した。米国の株高や日本企業の収益性向上への期待などが背景にある。過熱感が否めない中、今後の焦点は株高が定着ないしさらに上昇するかだ。短期的には2024年春季労使交渉(春闘)や日米金融政策の行方、中長期的には海外投資家が期待する企業変革を継続できるかが焦点になる。株価と実体経済のかい離を埋め、日本経済は新たなステージに向かいたい。
4日の株価は、年初の1月4日の終値3万3288円から約7000円も上昇した。わずか2カ月での急上昇に、市場では過熱感への警戒も指摘される。 急激な株高は、堅調な企業業績や資本効率・株価を重視した日本企業の統治改革が海外投資家に評価された一面がある。一方、米株高や円安、中国経済停滞下での日本市場の再評価など外的要因も少なくない。最近の株高は「半導体相場」とされ、必ずしも産業全体の業績が堅調なわけではない。人員削減に動く企業がここにきて相次いでおり、資生堂やオムロンは早期・希望退職を募り、ワコールホールディングスは早期退職に215人が応募したと発表した。
株高が定着するかは、短期的には日銀の動向を注視したい。市場では3月ないし4月の金融政策決定会合でマイナス金利政策が解除され、為替相場が円高に傾きやすくなるとみる。解除後も当面は緩和的な金融環境が想定されるものの、米国が5―6月に利下げに動けば日米金利差が市場で意識され、日本の株価が調整局面を迎えかねない。中国経済や中東情勢などの行方も警戒する必要があろう。
中長期的には、拡大均衡に向けた企業改革を推進することが株高を支えることになる。「失われた30年」で凍り付いていた賃金と物価がともに上昇し続ける好循環を回すには、労働移動の円滑化や成長投資による新たな価値創造とパイの拡大が欠かせない。金融政策の正常化により凍っていた金利も徐々に動き出す。企業が変革を怠らず、日本経済と株式市場が新たな成長軌道に移行すると期待したい。
(2024/3/5 05:00)
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