(2024/3/13 05:00)
2024年春季労使交渉(春闘)の集中回答日である13日、岸田文雄首相は経済界・労働界の代表と「政労使会議」を開く。岸田首相は「今春闘は日本経済の今後を左右する」として高水準の賃上げの機運を醸成する。中でも中小企業の賃上げ動向が大きな焦点になる。懸案である価格転嫁を円滑化するため、下請法(下請代金支払遅延等防止法)の改正も視野に入れた踏み込んだ議論に期待したい。
政労使会議は23年11月、24年1月に続いて3回目の開催になる。経団連の十倉雅和会長、連合の芳野友子会長が出席する。
大企業の間では集中回答日を待たずに、連合の賃上げ率目標「5%以上」を満たした早期決着が相次ぐ。経団連と連合は、賃金と物価の好循環実現に向け共闘しており、2年連続の意欲的な賃上げでデフレ脱却に道筋が付くと期待したい。主要国で日銀だけが採用しているマイナス金利政策の解除にもつなげ、経団連が望む金融政策の早期正常化も実現させる必要がある。
懸案である中小企業の賃上げを促すには、賃上げ分を取引価格に上乗せする価格転嫁が欠かせない。公正取引委員会は23年11月、価格転嫁を促すため、発注企業と受注企業に求められる行動指針を公表。公正な競争を阻害する恐れがある場合は独占禁止法などに基づき厳正に対処するとした。だが下請けへの代金を一方的に減額する下請法違反の動きは解消されていない。
岸田首相は5日の参院予算委員会で「下請法改正の要否も含め、幅広く検討を行っていきたい」と語った。だが「下請け」の名称変更に関する答弁で、この名称が親事業者の差別意識につながっているとの質問に応じたものだ。下請けを「パートナー」などに名称変更するだけでは取引の適正化は実現しない。
経済3団体は、経営者が先頭に立って取引適正化を徹底することを申し合わせ、連合の芳野会長は現行の独禁法や下請法の限界を指摘し、法改正を政府に要望している。親事業者の意識改革はもとより、岸田政権は13日の政労使会議を起点に実効性ある対策を講じてもらいたい。
(2024/3/13 05:00)
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