(2024/3/14 05:00)
2024年春季労使交渉(春闘)は13日に集中回答日を迎え、組合要求を上回る回答や満額回答が相次いだ。デフレからの完全脱却に向け、経営側の意欲的な取り組みを評価したい。今春闘は日銀の金融政策にも影響を及ぼす。連合が15日に公表する1回目の回答の集計と、日銀が18、19の両日に開く金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除するかを注視したい。
24年春闘が好スタートを切った。13日は日本製鉄が組合の要求を上回る過去最高額を示し、トヨタ自動車や日産自動車、川崎重工業、IHI、三菱電機、NECなどで満額回答が相次いだ。13日の集中回答日を待たずにホンダやマツダ、イオンリテール、サントリーホールディングス(HD)などが連合の賃上げ率目標「5%以上」を満たす回答で早期決着していたが、この勢いが増したと評価したい。
好発進した今春闘の勢いが中小企業や非正規雇用者にどこまで波及するかが今後の焦点になる。円滑な価格転嫁と同一労働同一賃金の実現が求められる。
日本経済研究センターの2月調査によると、エコノミスト38人が予測する賃上げ率は3・88%と、23年の3・58%を上回る。うちベースアップ(ベア)は2・22%と、1月の消費者物価指数の上昇率(前年同月比2・0%上昇)を上回るとみる。1月まで22カ月連続で減少していた実質賃金が増加に転じ、消費喚起を起点とした経済好循環が回り始めると期待したい。
連合が15日に公表する1次回答結果が、23年(1次回答)の賃上げ率3・80%を大きく上回るかが注目される。結果次第では、日銀が金融政策の正常化に動く見通しだ。日銀によると、賃上げの動向が反映される1月の企業向けサービス価格指数は前年同月比2・1%上昇し、6カ月連続で2%台を維持した。日銀は政策修正の環境が整ったと判断するかを注視したい。
日本経済は賃金と物価、さらに金利も上昇する拡大均衡型の新たな成長軌道に移行することが求められる。好発進した春闘の流れを継続し、「失われた30年」を取り戻す起点としたい。
(2024/3/14 05:00)
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