(2024/4/5 05:00)
キャッシュレス化の政府目標の達成が確実視されている。政府は2025年にキャッシュレス決済比率を「4割程度」に引き上げる目標を掲げる。経済産業省によると、23年にすでに39・3%に達し、前倒しで達成できる見通しだ。キャッシュレス化はレジ業務などを軽減し、懸案の人手不足対策になる。コロナ禍前の水準に戻った訪日外国人客の利便性を向上させるためにもキャッシュレス決済比率の向上は引き続き推進したい。
日本のキャッシュレス決済比率は、10年に13・2%と1割程度だったが、経産省が「キャッシュレス・ビジョン」をまとめた18年は24・1%に上昇。23年はすでに4割が視野に入っており、目標を上回る「4割程度」以上の達成が期待される。
コロナ禍が消費行動に影響を及ぼし、オンラインショッピングやフードデリバリーなどキャッシュレス決済の利用機会を増大させた側面もある。政府もキャッシュレス・ポイント還元事業を奨励するなど、キャッシュレス化を企業に促してきた。
キャッシュレス化のメリットは、会計や現金を扱う業務が軽減されるだけではない。決済データを分析・活用することで、マーケティング戦略の立案や、消費動向に応じた新たな事業の開拓なども進めやすくなる。ポイントサービスとの併用で商機の拡大も期待できる。無人店舗にも活用が広がる。加盟店手数料の負担があるものの、これらのメリットとコストを詳細に割り出し、キャッシュレス化を推進することが求められる。
訪日外国人客がコロナ禍前の水準に戻り、大阪・関西万博の開幕も1年後に迫る。商機を取りこぼさないよう、国際的に見劣りするキャッシュレス決済比率をさらに引き上げたい。海外では21年時点で韓国が93%、中国が83%、豪州や英国、シンガポールが60%台、カナダと米国が50%台だ。日本政府は将来的に8割を目指しているが、早期に海外との格差を埋めたい。
日本では飲食をはじめ個人店などでキャッシュレス化が遅れているとされる。機会損失とならぬよう対策を急ぎたい。
(2024/4/5 05:00)
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