(2024/4/24 05:00)
政府は、巨大IT企業の市場支配を規制する新法を月内にも今通常国会に提出する。スマートフォンの基本ソフト(OS)事業者を対象に、自由で公正な競争を阻害する行為を禁じ、違反すれば課徴金を課す。違反行為を事後的に取り締まる独占禁止法に対し、新法はあらかじめ禁止行為を示す「事前規制」となる。アプリ事業者の手数料引き下げなどが期待され、実効性のある運用が求められる。
スマホのOSやアプリストアは、米アップルと米グーグルの2強による寡占状態にある。アプリ事業者は両社が定めたルールによって配信・決済方法の制約を受け、高額の手数料も指摘される。新規参入の妨げにもなっている。これらを是正し、スマホ利用者のアプリや決済手段の選択肢を広げていきたい。
新法「スマホ特定ソフトウエア競争促進法」は、スマホOSを対象に、アプリストアや決済システムの独占を禁じ、アプリ事業者が利用条件などで不当な差別を受けないようにする。違反が認められれば、日本国内での売り上げの20%分が課徴金となる。毎年、新法を順守しているかの報告も求められており、新法の実効性に期待したい。
新法は、欧州連合(EU)が3月から本格運用を始めた「デジタル市場法(DMA)」を参考にした。DMAは、IT業界の変化の早さに対応した事前規制で、巨大IT企業が自社サイトで自社サービスを優先的に表示したり、アプリストアで自社の決済システムを勧めることなどを禁止する。すでに米アップルなど3社が同法違反の疑いで調査を受けている。日本の新法はDMAに倣っているだけに、同法の効果を注視したい。
公正取引委員会は22日、米グーグルに対し独占禁止法に基づく行政処分を行った。LINEヤフーによる広告配信が過去およそ7年間、一部制限されていた。LINEヤフーはグーグルから検索や広告配信の技術供与を受けており、グーグルは優越的な地位にあった。グーグルへの行政処分は初めてで、新法の事前規制と同時に、事後の取り締まりも強化してもらいたい。
(2024/4/24 05:00)
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