(2024/5/10 05:00)
違法な金属スクラップヤードに対し、東京近郊で規制に乗り出す自治体が相次いでいる。市町村単位に加え、4月からは千葉、茨城の両県が条例を施行し設置を許可制にした。違法なヤードは地域住民に迷惑なだけでなく、国内産業にとってもやっかいな存在だ。
違法なヤードは中国が固体廃棄物を輸入禁止としたことで、2017年ごろから増え始めた。雑品を無造作に積み上げ、十分な囲いや汚水流出の対策をしない。操業時の騒音や振動だけでなく、火災も発生している。
条例は住民の苦情に応えたものだが、規制強化により雑品の山を放置して行方をくらますケースがあり、他の自治体で再び同じことを始めることも懸念される。自治体単位ではなく、全国的に規制しなければ、違法なヤードはなくならない。
影響は国内産業に及ぶ。雑品から取り出した金属は安価で国外に流出している。このままでは金属リサイクル業者だけでなく、産業全体のサプライチェーン(供給網)に影響しかねない。
業界では後継者難から会社を外国人に売却するケースが増えているという。そうした業者は適正に運営しているが、違法なヤードの存在は業界全体の妨げになる。由々(ゆゆ)しき問題だ。
(2024/5/10 05:00)