(2024/5/13 12:00)
旭化成ホームズはデジタル技術を活用した建設現場の人手不足解消に力を入れている。建設業界では段階によってデジタル活用の深度に差がある。設計では3次元(3D)モデリング技術「BIM・CIM」などの活用が進むが、現場では実作業とデジタルを結び付ける難しさや作業者の負担が増える場合があることからデジタル変革(DX)の浸透に時間を要している。DXを現場に届けることを目指し、システムの開発・導入に取り組む。
旭化成ホームズは施工品質の向上と建設技能者不足への対応を目的に、太陽光発電パネルの施工管理システムの運用を一部地域で始めた。旭化成のデジタル共創本部と共同開発したシステムで、旭化成ホームズの住宅「ヘーベルハウス」「ヘーベルメゾン」において、パネルを固定するボルトを締める作業を省力化する。
システムは2段階で構成される。まず独自開発したシステムを搭載したインパクトレンチでボルトを締める。ボルト締め付け時に発生する超音波は、適正に締められると音が変化する。レンチに内蔵したマイクで集音して締結音の変化を判定すると、レンチが自動停止し締め過ぎを防ぐ。同時に締めたボルトの数・時間・誰が締めたかといった情報がクラウド上に記録される。
次に作業者がボルトを締めた箇所を登録する。独自開発した「AI音声対話アプリ」をインストールしたスマートフォンと接続したウエアラブル端末のマイクに「締め付け完了」と発声すると、AI音声で何点か質問され、それに対して返答することで締めたボルトの箇所・数などを記録する。対話形式にすることで不安定な足場や手袋を装着していても円滑に記録でき、作業者の負担を減らせる。
2022年に試験運用を始め、現在は神奈川県と埼玉県の現場で使用している。24年内には全国展開し、同時に社内の検査工程を一つ減らしてコストを低減する計画だ。
旭化成ホームズ施工本部施工技術部の大隈友和氏は「将来は住宅のボルトにも展開したい」と話す。同社の住宅では一般的な4人家族用の場合で約3000本のボルトを使う。住宅は太陽光パネルに比べて接合部の種類が多く、システムをそのまま転用することは難しい。だが、実用化すれば大幅なコストダウンが見込める。
一方で顧客によっては、大きな買い物である家の建設で急激に自動化が進むことに不安を覚える場合もある。技術進化を続けながら、顧客に寄り添った開発・運用が求められている。
(2024/5/13 12:00)
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