(2024/5/15 05:00)
個人消費の停滞が長期化しないか懸念される。内閣府が16日に発表する1―3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、2四半期ぶりにマイナス成長に転じ、中でもGDPの半分を占める個人消費が4四半期連続で減少する見通しだ。個人消費は4―6月期に賃上げ効果を受けて増加に転じるとみられるが、円安に伴う輸入物価の上昇が水を差しかねない。中東情勢の緊迫化も円安要因になる。市場で観測が揺れている日米金融当局による政策判断を注視したい。
シンクタンク10機関の予測によると、1―3月期の実質GDPは平均で前期比0・4%減、年率換算で同1・8%減とマイナス成長に沈む。自動車大手の認証不正問題に伴う減産・販売減が響き、個人消費と設備投資の内需が減少したほか、輸出も自動車が不振で減少に転じる。懸案の個人消費は前期比で0・1―0・5%減と想定される。
4―6月期は自動車の出荷再開、好決算を背景とした設備投資の増加、個人消費も好調な2024年春季労使交渉(春闘)や6月の定額減税で増加に転じるとみられる。だが政府の電気・ガスの価格抑制策は5月使用分で終了し、為替相場は約34年ぶりの円安水準にある。春闘の成果が相殺されないか心配だ。
3月の実質賃金は前年同月比2・5%減で、過去最長となる24カ月連続の減少だった。消費者物価指数(CPI、持家の帰属家賃を除く総合)が同3・1%上昇した影響が大きい。連合の24年春闘第5回集計では、ベースアップは3・57%とCPIの上昇率を上回る。だが過度な円安により、実質賃金の増加が遅れる可能性には留意したい。
米国の利下げをめぐり、市場観測は揺れている。4月の雇用統計の悪化はインフレリスク後退と映るが、15日発表の4月のCPIなどを見極める必要があり、利下げの時期は見通しにくい。一方、日銀は13日、公開市場操作による長期国債の1回当たり購入額を減額する方針を公表した。本格的な購入減額への布石なのか、為替介入の効果が限定的なだけに、日銀の次の一手を注視する必要がある。
(2024/5/15 05:00)
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