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(2024/5/20 05:00)
社会と自然の調和目指す
(総合1から続く)名古屋大学では修士までカミキリムシの研究をしていました。カミキリムシは世界で3万5000種以上。害虫として知られますが、森の中では枯れ木を食べ分解するなど森林生態系を支える存在でもあります。
もともと虫は得意ではなく、図鑑の写真を触ることさえ苦手。ただ、これまで知らなかったことを知れば知るほどすっかり虫嫌いではなくなりました。さすがにゴキブリは苦手ですが、森の中で出会うゴキブリには案外平気です。
社会と自然の調和を目指す仕事をしたいと考え、KANSOテクノスに入社しました。獣害対策のための調査が主な仕事です。うれしかったのは、農家の方から「野菜がたくさん収穫できるようになった」と言われた時です。愛知県まで足を延ばすこともあれば、近場では六甲山にも出向きます。関西全域の山に入って、イノシシやシカ、アライグマなどの動物のほか、植生も調べます。
山の中で動物が姿を現すことはほとんどありません。ですので動物のふんや足跡などの痕跡であるフィールドサインを調べます。最近ではカメラを設置し、動物を赤外線センサーで検知し自動で撮影する方法も使います。調査中は「藪漕ぎ(やぶこぎ)」もしますし夏になると虫にも刺されます。クモの巣が顔に引っかかっても、もう慣れました。
入社から3年、まだまだできることが少なく、もっと経験を積んでいきたい。そして、豊かな地域社会も自然環境の保全もかなえられるよう、地域に寄り添った技術者になりたいと考えています。中高では吹奏楽部、大学ではオーケストラ部でしたが、今は聴く専門。自然の情景が思い浮かぶシベリウスが好きです。昔の知り合いからは「そんな仕事をしているの」なんて驚かれたりもします。(文=尾本憲由、写真=田山浩一)
◇KANSOテクノス 環境部自然環境グループ 岸上真子(きしがみ・まこ)さん
(2024/5/20 05:00)