中央倉庫、新倉庫に他社ドライバーも利用可能な休憩室

(2024/5/30 12:00)

中継輸送提案の新材料に

  • 他社のドライバーも利用可能な休憩室を設けた

中央倉庫は2023年6月に完成した最新の自社倉庫で、「物流の2024年問題」への対応を進めている。新倉庫「滋賀支店 大津営業所(大津市)」に、他社のドライバーも利用可能な休憩室を設けた。トラックドライバーの年間時間外労働を960時間とする上限規制が適用され、500キロ―600キロメートルの長距離を1人で走りきることが難しくなった。新倉庫を長距離輸送の中継地点とし、ドライバーの負荷軽減につなげたい考えだ。

大津営業所は名神高速道路の瀬田西インターチェンジ、瀬田東インターチェンジからそれぞれ約6キロメートルと好立地に位置する。29億800万円を投じて新設した。4階建てで、延べ床面積は約1万2000平方メートル。工場が多い滋賀県内で、輸入した原材料や製造した製品などの保管に利用されている。

  • 中央倉庫の大津営業所

大津営業所には休憩室を3室設けた。足を伸ばして仮眠ができるベッドや浴槽を備える。運送会社が休憩室を用意するケースは多いが、倉庫会社による取り組みは珍しい。

同社は設備がなければ、物流の24年問題への対応策を打つのも難しいと判断し、休憩室の設置に踏み切った。大津営業所を所管する西口豊彦執行役員滋賀支店長は「挑戦的な取り組み」と胸を張る。

すでに物流会社と大津営業所の休憩室を試験運用をすることで合意したという。開始時期はまだ決まっていないが、試験運用を通じニーズを取り込むとともに、休憩室の運用ルールの詳細を詰める。

トラックドライバーの時間外労働時間の上限規制により、関東や北関東から、中・四国地方への長距離輸送で、滋賀県は中間地点となる。中央倉庫の大津営業所は今後、輸送の中継地点としての活用が増える可能性がある。西口執行役員は「(荷主や運送会社に)中継輸送を提案する中で、休憩室がメニューになる」と展望を話す。

ドライバーの負荷低減に向け、荷役のパレット化も推進する。トラックに積み込める貨物量が減るため、荷主からは敬遠されていた。しかし国から荷待ちや荷役などを2時間以内に終えることを示したガイドラインも出されており、荷主や運送会社へのパレット輸送の提案を進める。

パレット化は女性が働きやすい環境整備の一環でもある。子会社の中倉陸運(京都市下京区)では、大津営業所に在籍する同社ドライバー7人のうち、1人が女性。物流業界全体を新ステージに押し上げるべく地道な取り組みが続く。

(2024/5/30 12:00)

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