(2024/6/7 05:00)
“三方よし”さらに幸増す“五方よし”。売り手、買い手、世間の豊かさを求める三方よしは江戸時代から伝わる近江商人の心得。五方よしはこれを現代の企業経営に当てはめて発展させた考え方だ。
関西経済連合会はマルチステークホルダー資本主義を唱える。米国流の株主第一主義的資本主義の行き過ぎた部分を是正し、広く、等しく分配すべきとする。ステークホルダーは顧客、従業員、取引先、地域社会、株主・投資家の5者。
2023年3月、東京証券取引所はプライム、スタンダードの上場企業に株価純資産倍率(PBR)1倍以下を是正するよう要請。呼応する形で自社株買いや配当が増えた。
ただ関経連の松本正義会長は「目先の株価を上げて、経営者が格好を付けるためにやってはいけない」とクギを刺す。株主・投資家への還元は自己資本利益率(ROE)8%以上、配当性向40%という目安を示す。設備投資を行い、中長期で企業価値を高めることがあるべき姿ということだ。
五方よしは、三方よしに「作り手よし」「未来よし」が加わる。企業が長く続いていけばステークホルダーにもたらされる利益も積み上がる。そこに皆の未来が広がっていくはずだ。
(2024/6/7 05:00)