ビーエイトシー、軽度障がい者を戦力に グループで働く機会拡充

(2024/6/18 12:00)

ビーエイトシー(福岡市博多区、島野広紀社長)は、グループで福祉支援サービス事業などを行う。一般社団法人社会福祉支援協会(同区)を運営し、障がい者の教育や就労を支援する。二つの食品加工会社をM&A(合併・買収)して傘下に置き、軽度障がい者を、食品や冷凍食品、水産加工など一般就労の現場作業に活用。働く人の多様性を実践しながら人手不足を解消し、経営のV字回復を実現した。

  • 福岡丸福水産では軽度障がい者が働く(ビーエイトシーグループ提供)

ビーエイトシーグループは、障がい者が一般企業で働く機会を提供する就労継続支援A型福祉サービスを推進する。「障がい者雇用が義務ではなく戦力として社会に定着する多様性を目指す」(島野社長)とし、学びや住まいを含めてグループ企業で提供できる体制を整えてきた。

さらに、一般企業で働く機会を拡充することを目的とし、2020年に食品加工の那珂川キッチン(福岡県那珂川市)、21年に水産加工の福岡丸福水産(福岡市東区)をM&Aで傘下に置き、福祉サービスとビジネスの両立を推進した。

知的・精神、身体それぞれの軽度障がい者の採用に向けて取り組んでいるのが施設外就労という方法。半年から約1年間、軽度障がい者に同グループの職業指導員がユニットを組んで寄り添う。軽度障がい者は企業で仕事を体験し、賃金を受け取る。企業は中長期的な試用で働きぶりを見て採用を判断。障がい者側は、正式雇用前に職場だけでなく通勤環境も体験し、仕事継続の可能性を見極められる。

  • 那珂川キッチンの食材加工(ビーエイトシーグループ提供)

同グループの軽度障がい者は、二つの企業で搬入・搬出など簡単な作業を請け負う。従来の従業員や職人は、水産物の加工や食品の味付けなど経験や知識を要する専門性が高い業務に専念できた。

その結果、両社とも生産性が向上して生産量が増え、売り上げがV字回復した。一方で労災事故件数や残業時間は減少した。品質は向上し、製品開発が進んだ。

現場は「職場全体の環境改善や意識改革につながった」(福岡丸福水産の藤島和洋品質管理部長)と障がい者雇用を歓迎する。

24年1月に農林水産業と福祉との優れた連携事例として国の表彰を受けた。同年4月、障がい者の法定雇用率は2・3%から2・5%に引き上げられた。那珂川キッチンの障害者雇用は従業員17人中7人で雇用率41・1%。福岡丸福水産も同33人中7人で同21・2%を占める。

島野社長は、障がい者雇用が企業を救うとして、新たな人材の開拓を進める方針だ。

(2024/6/18 12:00)

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