(2024/6/24 12:00)
日東工業の新たな生産拠点、瀬戸工場(愛知県瀬戸市)が4月に稼働した。「DX(デジタル変革)を駆使した人と環境にやさしいスマートファクトリー」をコンセプトに、延べ床面積5万平方メートルの工場で380人が働き、キャビネットやシステムラック、ブレーカーを生産する。敷地面積は25万平方メートルを誇り、移動用にタイのグループ会社が製造する電動のトゥクトゥク(3輪車)も用意した。敷地内に全長1・4キロメートルのウオーキングコースも備え、人にやさしい工場だ。
自動化生産ラインでは板金加工や溶接、塗装をロボットが担う。他の工場でもロボットによる工程の自動化を進めているが、瀬戸工場では新たに自律移動ロボット(AMR)と無人搬送車(AGV)を導入し、工程間の搬送を自動化した。
キャビネットなど大きな製品が多いため、従来型の生産ラインでは製品の工程間搬送にフォークリフトを使用している。「この規模の工場だと、フォークリフト10台程度が必要」(河路勝彦執行役員生産本部長)だが、瀬戸工場では代わりにAMRとAGVそれぞれ8台が工場内を走り回る。
自動搬送などロボットによる自動化を可能にしたのは、仕様・サイズの異なる製品でも標準品のように一つの生産ラインで製造できる独自の製造実行システム(MES)の導入による部分が大きい。材料となる、さまざまなサイズの板金を用意した自動倉庫の活用で特注品の自動生産ができている。
さらにMESにひも付くのが自社開発した「スマートオーダーキャビネット」だ。同システムは、顧客がウェブ上で寸法や穴の位置などの仕様を指定。その仕様がそのまま生産ラインに指示される仕組みだ。設計作図や生産設計を省けるため4―7日で出荷できる。
DXで新しい生産方式を構築し、広範囲でロボットによる自動化を実現。瀬戸工場は従来の工場と比べて大型キャビネットの生産能力が5割増となり、コストは年間で約6億円低減できる試算だ。
(2024/6/24 12:00)
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