(2024/6/24 12:00)
長野テクトロン(長野市、柳沢由英社長)は、社内と顧客の双方に向けて人工知能(AI)を活用したデジタル変革(DX)に注力している。迅速な顧客対応を実現するためにAIを搭載した案件管理システムの開発が進む。不良率を予測した原価管理や製品の外観検査システムにもAIを活用し、業務を効率化している。専門知識が必要な作業を短時間で終え、浮いた時間を新製品の開発などの業務に回す。
長野テクトロンは入力用キーボードやメンブレンスイッチをはじめとする入力装置を設計・製造している。多品種小ロットの短納期の製造を強みとし、5000種以上の製品を扱う。商圏を全国に広げており、今後も増加を予想する製品・部材への対応や柔軟なモノづくりの実現に向けて、3年ほど前からAIの導入を進めている。
キーボードやメンブレンスイッチの検査項目は、誤植や異物付着の有無、色調検査など幅広い。さらに製品によって検査内容も異なるため、不良箇所の見逃しなどの人為的ミスの発生が起きる課題もあった。そこでAI外観検査システムを導入し、不良の傾向や閾(しきい)値を学習させ、高い精度の検査を短時間で行えるようにした。
管理部門では原価管理にAIツールを活用している。メンブレンスイッチの原価算出は材料単価や作業単価、製品不良率などを計算する必要がある。単価はある程度の算出が可能だが、不良率は製品仕様によってバラつきが発生する。同ツールの活用で、仕様別の製品不良率の傾向をAIに学習させて正確な不良率を予測し、原価に盛り込みつつ不良率の改善にも役立てている。
算出した結果を参考にして見積書を作成できるため、製品製造のコスト削減につながる。RPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)の上を行く作業効率で、社員3人分の仕事をAIが担っている計算になるという。また、AIを導入する前は数日かかっていた見積書の作成も、早ければ即日での対応が可能になった。
現在開発を進めているのがAIを搭載した案件管理システムだ。全社部門で案件情報を共有し、営業、開発、製造など各部署が有しているデータやリソースを即時的に照合。最適な仕様や納期、価格などを提案できる体制を目指している。柳沢社長は「7社あるグループ会社も含めてAIを普及させ、DXを進めていきたい」としている。
(2024/6/24 12:00)
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