産業春秋/最難関「デブリ」取り出しに着手

(2024/9/11 05:00)

最難関の作業工程がスタートした。東京電力は10日、福島第一原子力発電所2号機で、溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的な取り出し作業に着手した。順調なら2週間後に最初のデブリ3グラム以下を取り出すという。

2011年の東日本大震災を受け、1―3号機で炉心溶融(メルトダウン)が発生。デブリは3基で計880トンあると推計される。3グラムは耳かき程度の量だが、今後の本格的なデブリ除去には不可欠な作業となる。

デブリの硬度や成分を分析することで、効果的な取り出し方法や安全な保管方法などを検討することができる。廃炉作業のスピードアップにもつながるだけに、3グラム採取は慎重に行いたい。無論、作業は安全最優先だ。

政府と東電が掲げる廃炉工程が第3期に入る。第2期は処理水の海洋放出や、デブリ取り出し装置の開発に取り組んできた。第3期は2号機デブリの試験的な取り出しと本格的な取り出しを予定する。

デブリの取り出しはすでに3年近く遅れ、8月22日に予定していた取り出しも準備段階のミスで延期されていた。政府・東電は2051年までの廃炉完了を目指す。1歩を踏み出した難作業の歩みを確実に進め、「その日」に近づきたい。

(2024/9/11 05:00)

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