インタビュー/日産自動車カスタマーパフォーマンス&第一車両実験部・加藤博義氏 100点目指して挑戦を

(2024/7/9 12:00)

日産自動車の加藤博義氏はテストドライバーとして40年以上にわたり「GT―R」や「スカイライン」「フェアレディZ」などの開発に携わってきた。仕事に対する姿勢や自動車産業への思いを聞いた。

―テストドライバーの仕事とは何ですか。

「当社が発売する自動車の操縦安定性や乗り心地などを試験する。(そのトップである)テクニカルマイスターを65歳まで務めた。現在は後進の育成を担当している。テストドライバーにもランクがある。GT―RやフェアレディZなどはゆうに時速200キロメートルを超える。想定外の挙動が発生した時にどう対処するのか。運転訓練はもちろんだが、マインドやメンタルなどを教えている」

―早くから志望されていたそうですね。

「テストドライバーという仕事を小学生で知り、中学生の時にはなりたいと言っていた。毎日車に乗って給料がもらえる、車好きには夢のような仕事だ。企業内学校の日産工業専門学校(当時)に入学し、卒業後は車両実験部に配属となった。以来、転勤はあるが転属はない。そういう意味で日産歴は50年を超える」

―醍醐味(だいごみ)は何ですか。

「数えてはいないが担当した車種は100を超えるのではないか。1976年に入社して担当したフェアレディZもモデルチェンジを繰り返している。車の開発に携わり、日々走る。その時はその車が一番かわいい。その車が発売になり、次の車の担当すると次はその車がかわいい。町中でお客さまが乗っている車を見るとまた楽しい。子どもと同じで比べようがない」

―若手へのアドバイスは。

「100年に1度の変革期や電動化の進展などが取り上げられているが、騒ぎ過ぎではないか。変革期だから変わらなくてはいけない、新しいことをやらなければいけないと考える必要は全くない。これまでも従来の車を超えたい、他社の車を超えたいという思いで必死にやってきた。周りに踊らされるのではなく100点を目指して挑戦していけばいい。今は必死に歯を食いしばってやることだ」

【略歴】76年(昭51)日産工業専門学校卒、同年日産自動車入社。テストドライバー一筋で歩む。03年「現代の名工」表彰、04年に「黄綬褒章」を受章。秋田県出身、66歳。

(2024/7/9 12:00)

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