「デジタコ」データで物流業務改善 矢崎総業、商用車の安全運行を支援

(2024/7/25 12:00)

  • 動態・労務管理や日報作成など多様な解析機能で安全運転を支援するシステム(イメージ)

矢崎総業はデジタル式運行記録計(タコグラフ)やドライブレコーダーから取得したデータで商用車の運行管理を支援する。さらに収集したデータの多様な活用法を提案している。ドライバーの時間外労働の上限規制適用により、安全運転や労務管理のためデジタコの装着が重要視される。国土交通省は7月、事業用トラックのデジタコ装着率を2027年までに85%に高める方針を示した。同社製のデジタコは現在、全国の商用車に通信式で約15万台、SDカード式で約13万台装着されており、普及をけん引する。

デジタコは運行中のトラックなどから速度・時間・距離といった運行データのほか、位置情報や急ブレーキなどの車両動態を取得する。ドラレコとの一体型では画像解析を用いて車線逸脱や車間距離なども記録する。

こうしたデータを解析し、運転日報の自動作成や、拘束・休息時間といった労務状況の一覧化、リアルタイムでの動態管理など安全運行を支援するシステムを展開する。モビリティ事業本部モビリティ事業企画統括部の真鍋陽平計装商品企画部長は「1日の運行を可視化することで、作業の効率化や賃金交渉などに貢献する」と物流業務の改善に自信を示す。

通信式で収集した商用車約15万台分の走行データについては匿名加工した上で、車両通行量や平均速度、走行経路、ヒヤリハット情報といった「商用車プローブデータ」として販売している。主に建設コンサルタントによる道路交通調査などで活用されている。

データ活用事例の一つに、台風や地震などの災害時の物流交通影響分析がある。例えば通行止めに伴って発生した迂回(うかい)や物流量の減少を受けて、迂回量や旅行速度を平常時と比較し、ボトルネックを分析する活用法が見込まれる。22年8月に福井県で発生した集中豪雨では国道などの通行止めの際、該当エリアの走行結果を基に迂回ルートの解析や走行距離・時間の算出が行われた。災害時の安全な物資運搬に寄与する。

他にもトラック配車システムのベースデータとして活用することで、正確な発着時間の予測など精度の向上が見込まれる。また路面補修など道路整備におけるデータ活用についても関心が寄せられている。真鍋部長は「プローブデータは道路交通量調査や災害時だけでなく、異業種でもさまざまな使い方の可能性がある」と活用領域の拡大に期待を寄せる。

(2024/7/25 12:00)

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