(2024/8/8 05:00)
内閣府が15日に発表する4―6月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、2四半期ぶりにプラス成長に転じる見通しだ。だが喜べる内容ではない。認証不正問題で停止していた自動車生産が再開した影響が大きく、この要因を除けば内需は足踏みしている。7―9月期も内需主導の緩やかな成長が見込まれるものの、株価や為替動向次第では個人消費や設備投資が下振れる可能性があると留意したい。
シンクタンク10社は4―6月期の実質GDP成長率(年率換算)をプラス2%台と予測し、1―3月期のマイナス2・9%を取り戻せないと見通す。1―3月期はダイハツ工業などの認証不正問題に伴う自動車生産の停止が影響し、マイナス成長を余儀なくされた。4―6月期はこの生産が再開され、個人消費や設備投資が反動増となったに過ぎない。
10社の予測では、個人消費は平均で前期比0・5%増と5四半期ぶりに増加、設備投資も同0・6%増と2四半期ぶりに増加すると見通す。だがGDPの過半を占める個人消費の「回復の動きは緩慢」(日本総合研究所)で、「内需は本格回復に至っていない」(伊藤忠総研)のが現状という。実質賃金の減少が長く続き、家計の節約志向に大きな変化はみられない。
結果、景気は「足踏み状態」(第一生命経済研究所)で「一進一退の状況から抜け出したとは言えない」(ニッセイ基礎研究所)と認識する必要がある。
7―9月期は、2四半期連続で内需主導の緩やかな成長が見込まれる。同期に実質賃金の増加が定着し、堅調な企業業績を背景に設備投資も増えると見立てる。だが大幅に変動する株価や為替相場が、消費者マインドや企業の投資に及ぼす可能性にも留意しておく必要があろう。
株価や為替が安定するには、米国経済の先行き懸念を緩和する必要がある。これまで米製造業の業況悪化や雇用情勢の悪化が伝えられたが、7月の非製造業の景況指数は51・4と前月の48・8から大幅に改善した。米国の景気後退に対する過度な懸念が後退すると期待し、米国経済の行方を注視したい。
(2024/8/8 05:00)
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