オジックテクノロジーズ、微細加工武器に医療向け開拓

(2024/9/18 12:00)

  • フォトリソグラフィーによる金型作製を含む製造工程の内製化を進めてきた

オジックテクノロジーズ(熊本市西区、金森元気社長)は、メッキをはじめとした各種表面処理を手がける。2007年ごろから精密電鋳事業において、フォトリソグラフィーによる金型作製を含む製造工程の内製化を進めてきた。現在は医療機器や印刷機器向けの微細部品などの需要を獲得する。

金森社長は内製化の意図を「ワンストップで部品を提供する仕組みをつくり、顧客満足度を高めるため」と説明する。以前は顧客や協力会社からフォトリソグラフィーで作製した金型の提供を受けていた。ただ、輸送時に金型部分が欠ける恐れや、複数社を経由するために納期が遅くなる課題があった。

内製化に取り組み始めた当初は、フォトリソグラフィーに用いるフォトレジストの管理方法などのノウハウ獲得に苦労した。普段扱う材料はニッケルなど金属由来の素材がほとんど。これに対して、フォトレジストはポリマーなどの有機物だ。保管方法についても、湿度や紫外線からの保護など金属とは異なる視点が必要だった。

国の補助金なども活用して、フォトリソグラフィーに必要なクリーンルームを整備し、運用ノウハウも獲得した。5年ほどで軌道に乗せることに成功した。内製化に伴って得たノウハウは、半導体ウエハーの検査事業の立ち上げなどにも役立てている。

金森社長はプレス加工と比較した際の精密電鋳の特徴について「バリや反りが発生しづらく、微細な加工に向く」とする。金型として利用したレジストは露光して溶けるため、端材が発生しないことも特徴に挙げる。

オジックテクノロジーズは精密電鋳の技術を生かして、血液からがん由来の物質を分離する医療検査機器を熊本大学と共同で開発した。他にも分析装置や印刷機器などで同社が携わった微細部品が利用されている。今後は他の分野でも精密電鋳技術の活用先を模索し、需要を掘り起こしたい考えだ。

(2024/9/18 12:00)

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