(2024/9/18 12:00)
東京ブレイズ(東京都世田谷区、松康太郎社長)は、1970年設立以来の大型投資に打って出た。栃木県さくら市に土地と建物を取得し、金属同士を精密接合させる「ロウ付け」などの工場を新設。既存工場は老朽化するほか、複数の建屋に分散しており、生産集約で効率化を図る。最新設備や自動化の思想を取り入れ、ロウ付けの受託加工から装置・材料販売まで手がける総合メーカーとして持続的な成長により“100年企業”を目指す。
東京ブレイズが新設した栃木工場は9月に稼働を開始。ロウ付けを行う水素炉を最大で5台導入する。自動車部品や給湯器部品などのロウ付け受託加工の能力は従来比5割以上増強し、投資額は数億円だ。
松社長は「既存の埼玉工場(埼玉県志木市)は全て借地だ。設備が老朽化する中で、おかげさまで事業は成長・拡大している。で、どうしようかという話になった」と工場新設の経緯を説明する。
ロウ付けはハンダ付けと同じ原理だが、450度C以上の高温で加熱処理する接合技術だ。同社はステンレス鋼のロウ付けを得意とし、ほかに銅や真ちゅう、セラミックス、チタンなどに対応する。
新工場では水素炉から検査までの一貫自動化ライン構築を目指す。鈴木清隆栃木工場長は「水素炉から出てきた製品をコンベヤーで検査装置まで運んで、極力自動化していきたい」と語る。自動化が進めば、稼働時間を長くできる。「埼玉工場は現在、8時から17時までの稼働だが、栃木工場は自動化して生産性を上げる方策を検討する」(鈴木工場長)と意気込む。
同社はこれまで埼玉工場を主力拠点とし、小物の大量生産に向く水素炉を8基、重量物などの製造に向く真空炉を4基備える。建屋老朽化などのほかに、原材料である水素ガスの供給問題にも直面。物流業界は人手不足が深刻となり、原材料供給リスクが日に日に高まっていた。
松社長は「物流危機により、このまま仕事が増えても、もうガスは運べないという話になった。(配送頻度は増やせないので)大きい容器で持ってきて置いておくしかないが、埼玉工場は保管場所がなかった」と話す。
今後、受託加工の業務は栃木工場に順次移管し、埼玉工場は研究開発や試作などエンジニアリング拠点の役割を引き続き担う。栃木工場では接合時に使うロウ付け材料も生産する。
同社は新工場を契機に、受託加工、ロウ付け装置、ロウ付け材料の三位一体でその独自性に磨きをかける。
(2024/9/18 12:00)
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