(2024/10/2 12:00)
電池製造、乾燥環境作りやすく
自動車の電動化に不可欠なバッテリー。その製造工程で活躍するのが、西部技研の有機溶剤回収システムだ。電極の形成工程で発生する排気に含まれる有機溶剤を回収する。
熱交換器による熱回収や揮発性有機化合物(VOC)の濃縮といった主力技術を組み合わせた。省エネルギーでカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の取り組みにも貢献できる。
同社は除湿機や熱交換器、VOC濃縮装置の開発メーカー。特定物質を吸着する機能をハニカム構造体に持たせ、空気を通して性質をコントロールする技術を持つ。ハニカム構造体の素材や吸着材に関するノウハウが強み。装置の設計から製造、設置まで対応するトータルエンジニアリングで、ユーザーに最適で効率的なシステムを提案、構築する。
同社の有機溶剤回収システムは、溶剤を高濃度に含む高温の排ガスから熱交換器で熱を回収し、冷却・凝縮した液体として溶剤を回収する方式。その排ガスからは、さらにVOC濃縮装置を通して溶剤を再度回収する。
これにより排気中の溶剤濃度は大気に放出可能な低濃度になる。凝縮された回収液は品質の安定性が高いため、リサイクルに向けた精製がしやすくなる。
バッテリーの製造工程では乾燥環境が求められる。有機溶剤の回収には水を多く用いる方式もあるが、水を使うことで乾燥状態を作るためのエネルギー消費につながる。カーボンニュートラルに向けた省エネは製造現場全般の大きな課題だ。
一方で同社のシステムは水を使わない。「効率的に乾燥環境を作る技術は、当社が得意とする技術の一つ」(河口和彦ソリューション事業部ゼネラルマネージャー)。また熱交換器で回収した熱を再利用することで、熱を発生させるためのエネルギー消費も抑えられる。
システムは日本や欧州の工場向けで受注を伸ばしており、「今後の需要拡大も見込んでいる」(同)。
(2024/10/2 12:00)
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