(2024/10/3 12:00)
センコーグループホールディングス(GHD)は外国人のトラック運転手の採用に向け準備を進めている。政府は3月に、外国人材の受け入れ制度「特定技能」の対象に自動車運送業分野などを追加することを決めた。現在、制度の詳細を詰めている段階で、2025年には運用が始まる見通しだ。こうした中、同社は物流大手として取り組みをリードし、人手不足という課題の解決に貢献する。
自動車運送業の特定技能の在留資格を取得するには、トラック運転手の場合は基本的に自動車運送業分野特定技能1号評価試験の合格、日本語能力試験N4以上の合格、日本の運転免許の取得が必要だ。ただ、免許の手続きには日本滞在が欠かせない。そのため特定技能試験と日本語能力試験の合格条件を満たしていれば「特定活動」として6カ月入国が認められる。
とはいえ運転免許試験場でも同様の手続きで混雑することが予想され、期間内に免許を取得できない可能性もある。その場合は在留資格を失ってしまう。
こうしたリスクを避けつつ日本の生活に慣れた外国人を採用するため、センコーGHDは技能実習制度によって同社グループの倉庫施設で従事可能な業務に携わっている外国人の中から、運転手候補者を育成する方針だ。技能実習の期間中での運転免許取得を同社が支援し、在留期間終了後に特定技能としての在留資格を取得してもらう。これにより日本の生活に慣れ、業務内容も理解した外国人を安心して採用できる。
同社はこうして独自に育成した人材が協力会社に流れていくことも想定する。ビジネスサポート事業本部副本部長の篠原信治執行役員は「中小企業である協力会社で外国人を育成するのは難しい。当社で採用しなくても、協力会社に紹介するという形にしないと、運転手不足は解消しない」と訴える。
また採用後も独り立ちさせるまでにはある程度の時間がかかる。現在、安全運転研修を行える自社施設「クレフィール湖東」(滋賀県東近江市)の活用を想定。トラックの乗り降りの仕方や荷物の扱い方など、安全性や品質管理について約1カ月間、総合的に訓練する予定だ。道路交通法などの制度面も、同社で独自に再教育する。
今後は同社グループの倉庫施設で働く技能実習生を、毎年100―200人受け入れる方針。その中から運転手候補者を育成し、特定技能としての運転手を、2030年ごろまでに累計100人程度受け入れる計画だ。
(2024/10/3 12:00)
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