(2024/10/8 05:00)
人口減で寂れていく“まち”。将来、全国の4割超の自治体が消滅を危惧されているが、活気を取り戻したいという思いは、高齢者の方が強いようだ。行政学が専門の辻琢也一橋大学教授は日本記者クラブで、富山市の市町村合併検証報告書を例に話した。
報告書は2005年に合併した富山市が23年にまとめた。市民アンケートで「まちの活気」について尋ねている。回答は「やや不満」「不満」の合計で、30代は26%弱に対し、60代、70代は40%超となっている。
30代の不満が低いのは「子どもの頃からすでに寂れたまちで過ごしてきたから」と辻教授は解説する。高齢者とは基準が違うということだ。車に乗れば、買い物も食事も不便はあまり感じない。
となれば今後のまちづくりは、長く住み続けてくれる若い世代を意識したものにすべきとなる。若者の意見に耳を傾け、若者が参加する仕組みが欠かせない。
富山市は路面電車を核とするコンパクトシティーづくりで全国から注目されている。辻教授は人口が同規模の長崎市や宮崎市とともに分析し、成功のカギは過度な集中で地価が上がらないようにすることと指摘する。“若い世代が住める”が、まちづくりの要となる。
(2024/10/8 05:00)