(2024/10/4 05:00)
経済界も一安心するのではないか。石破茂首相が4日に行う所信表明演説で、安全を確認した原子力発電所の利活用の推進を表明する見通しだ。経済政策に続いて、原子力政策も岸田文雄前政権の路線を踏襲することになる。
石破氏は自民党総裁選を控えた8月の会見で「原発依存度をゼロに近づける」と語っていた。その後、発言は軌道修正されたものの、1日の首相就任会見では原発に関する踏み込んだ発言はなかった。
人工知能(AI)の普及に伴うデータセンターの利用拡大により、日本は人口が減っても電力需要は拡大する。安価な電力の安定供給は、日本企業の国際競争力に直結するだけに、経団連は「原子力の最大限の活用」を新政権に強く求めていた。
政府は2024年度中にエネルギー基本計画を改定する。「可能な限り原発依存度を低減する」としている現行計画の表現をいかに修正し、どのような電源構成を打ち出すのかが、次の焦点となる。
「岸田政権の政策の踏襲は、我々としてもありがたい」と語る経団連の十倉雅和会長。石破政権は、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働など高いハードルを越える必要がある。言葉だけで終わらせない実行力に期待したい。
(2024/10/4 05:00)