産業春秋/郵便値上げ「近代郵便制度の父、出番です」

(2024/10/1 05:00)

デスクの引き出しには1円切手が多数眠っている。郵便料金の改定の度に差額として使ってきたが、しばらくすると用がなくなる。きょう1日に郵便料金が値上げされ、再び出番となる。

25グラム以下の定型封書は84円から110円になる。消費増税時を除き30年ぶりの値上げだ。はがきは63円から85円に。背景には郵便物の減少に加え、集配・輸送コストの増加がある。日本郵政の郵便事業は、2022年度に211億円の赤字となった。07年の民営化以来初めてで、23年度は896億円に膨らんだ。

総務省の試算では、値上げにより25年度は黒字化する。だが、26年度以降は再び赤字の見通しだ。状況を打開するには、収益構造の改革が欠かせない。

ただ23年度の郵便物の取扱量はピークだった01年のほぼ半分。郵便料金は郵便法により上限が定められ、全国一律料金のユニバーサルサービスも郵政民営化法などによって定められている。公共サービスの位置付けで、経営の自由度に制限がある。

郵便制度は1871年に始まった。1円切手には近代日本郵便の父と称される前島密の肖像が描かれている。小幅の再値上げも想定されており、前島の出番の頻度が高まるかもしれない。

(2024/10/1 05:00)

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