産業春秋／長崎の新たなランドマークに期待

　　「長崎スタジアムシティ（ＮＳＣ）」が１４日、長崎市中心部に開業する。通信販売のジャパネットたかた（長崎県佐世保市）などをグループに持つジャパネットホールディングス（ＨＤ、同）が事業主となり、１０００億円規模の総事業費を投じて完成させた。

　ＪＲ長崎駅から徒歩１０分。サッカースタジアムを中心にアリーナやオフィス、商業施設、ホテルが集う大型複合施設だ。工場再編に伴う三菱重工業長崎造船所幸町工場の跡地に建設された。

　造船業は長崎県の基幹産業。「ダイヤモンド・プリンセス」などクルーズ客船が建造されてきた地だが、現在は液化天然ガス（ＬＮＧ）燃料船といった環境対応船など脱炭素化に向けて変化が加速する。

　「シリコンアイランド九州」の一角を担う長崎でも半導体関連の工場建設が続く。一方で地方の共通課題となる人口減少は懸念。若年層が進学や就職を機に転出するケースが多い。造船や半導体の“変化”も人が支える。

　あらゆる産業で人材の引き留め、流入は大きなテーマ。２０２２年９月開業の西九州新幹線は長崎に活況をもたらした。それに続くにぎわい創出の起爆剤として、雇用でも期待を背負うＮＳＣの成功に期待したい。