インタビュー/三菱ガス化学取締役常務執行役員・毛戸耕氏「原料安定化とCSR両立」

(2024/10/17 12:00)

複数購買・相手先評価を実施

―足元の事業環境と調達における全体的な方針は。

「世界の地政学的緊張が高まる中、調達リスクに対する一層の感度の向上、スピーディーな対応が必要だ。一方で景気動向は世界、日本ともに力強い成長にあるとはいえないものの、おおむね堅調で安定的な原料調達が求められる。基本方針として供給途絶リスクの回避と安定調達の推進や、適正価格での調達を通じた事業部門の競争力のサポート、グループ全体での原料購買センターとしての機能強化、(社会・環境に配慮する)『CSR調達』の深化だ」

―事業継続計画(BCP)関連では、どのような点に注力しますか。

「化学業界は各社が製品を販売したり、一方で原料を購入する相手先となっていたり、双方向で密接につながっている。だが汎用化学品は中国の大増産、大量輸出によりアジア市場で供給過剰や市況低迷が続く。当社を含め国内化学各社が事業縮小や撤退の動きを加速しており、輸入品の調達などの対応を進めている。一部の特殊な原材料は調達先が限定される。地政学や天災のリスクに鑑み、複数購買化を原則とした対応を進める。中国などカントリーリスクのあるものは他国からの調達を検討する」

―調達面を含めて、脱炭素化に対応する取り組みは。

「バイオ原料については国内品や海外品を合わせて導入を進めている。まずマスバランス方式による製品のバイオ化として(持続可能な製品の国際的な認証制度)『ISCC PLUS認証』をメタノールやMXナイロンなどで取得してきた。植物由来の原料を使用したバイオマスレンズモノマーの新ブランド『エピスリーフ』の生産も開始した」

―人権尊重などの重要性が高まっています。

「当社はCSR調達に関するガイドラインを定めており、調査を通じてサプライヤー評価を実施したところ、優良企業との取引が多かった。人権や水セキュリティーに関する調査も実施する予定だ」

(2024/10/17 12:00)

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