(2024/10/23 05:00)
米中経済の先行きを注視したい。堅調な米国経済を背景に為替相場は円安で推移している。円安は輸出に有利な半面、輸入物価が高止まりしかねない。米国に次ぐ輸出相手国の中国は、デフレ懸念を拭えず、2024年の実質成長率が政府目標に届かない可能性がある。米中は対照的な経済環境ながら、ともに日本経済にとってリスク要因を抱えている点に留意したい。
22日の東京外国為替市場の円相場は、約2カ月半ぶりに1ドル=151円台を付けるなど円安が進んだ。米国経済は想定以上に堅調で、利下げ観測が後退。21日(現地時間)には米長期金利が上昇し、日米金利差が市場に意識されドル買いが進んた。米大統領選後に財政出動が拡大するとの市場の見方も、米国の長期金利を押し上げている。
米国の9月の雇用統計は、非農業部門の就業者数が前月比25・4万人増と、市場予想を10万人以上も上回る。同月の小売売上高も前月比0・4%増と、市場予想の同0・3%増を上回っており、想定以上の強さを維持している。米国経済の軟着陸は世界経済には好ましいが、実質賃金の増加の定着を目指す日本にとっては、過度な円安は経済好循環の実現に水を差す。今後の為替動向には警戒したい。
深刻な内需不足に陥っている中国は、7―9月期の実質成長率が年率換算4・6%と、4―6月期の4・7%から減速。政府の24年目標「5%前後」の達成が困難視される。中国政府は9月下旬以降、景気刺激策を相次ぎ打ち出したものの、需要の創出に向けた大胆な財政出動に動いていない点が懸念される。
中国人民銀行は9月27日、事実上の政策金利と、市中銀行から預かる預金準備率を同時に引き下げたほか、10月12日には特別国債を発行し、国有銀行に公的資金を注入すると発表した。銀行の資本を増強し、貸し出し余力を持たせる狙いである。
だが、長引く不動産不況により停滞した内需を喚起するには不十分だ。中国経済は世界経済に及ぼす影響が大きいだけに、デフレ回避に向けた踏み込んだ財政出動を急ぐ必要がある。
(2024/10/23 05:00)
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