(2024/10/29 12:00)
パナソニックグループの中でも多様性を重視した経営姿勢を打ち出すパナソニックコネクト。DEI(多様性、公平性、包摂性)への理解を深める会議プログラムを開いたり、LGBTQ+(性的少数者)に関する企業間勉強会に参加したりとさまざまな施策を通じて、人権を尊重する組織を追求する。ただ、DEI推進の面では女性管理職の登用といった課題も残る。継続的な取り組みがいつ実を結ぶか注目される。
「“JTC”から変わろうと、動きは速かった」。パナコネクトDEI推進室の油田さなえシニアマネージャーは振り返る。JTCとは「伝統的日本企業」のこと。早期にフリーアドレス制を導入し、2023年度にはジョブ型人事制度を取り入れるなど、旧態依然とした組織から脱する取り組みに力を注いできた。
組織改革は経営トップが自ら進める。パナコネクトの樋口泰行社長は普段、役員専用の執務室ではなく、一般社員と同じフロアで働いているという。油田シニアマネージャーは「ちょっとした相談もしやすくなった。フラットな組織になっている」と実感を語る。
経営幹部がDEIを重視する姿勢は近年、さらに強まっている。未来の働き方を考える会議プログラム「ゲンバラウンドテーブル」の催しには一般社員とともにDEI推進担当の執行役員も参加し、意見を交わした。
また、10月からは担当役員が従来の2人から3人に増えた。加わったのは最高法務責任者(CLO)の玉田豊氏で「コンプライアンス(法令順守)などの観点のDEIも強化する」(パナコネクト)狙いがある。
こうした取り組みに加え、フレックスタイム制や、育児・介護中の社員に週3―4日の勤務を認めるといった働き方改革も進めている。結果、パナコネクト社員を対象にしたアンケートでは「働きやすくなった」と声が上がっているという。
一方、道半ばの点もある。女性管理職の登用だ。パナコネクトは女性管理職比率を35年に30%にする目標を掲げるが、24年時点では7・7%にとどまる。パナソニックグループの中では先行しているとはいえ、約17%に達するグループ会社もある。女性が活躍できる組織作りを急ぐ。
「これからも管理職候補になる女性の数を増やしていく。結果はすぐに表れないが取り組みを進めることが重要」(油田シニアマネージャー)とする。魅力的な組織として働き手に選ばれる環境作りは、企業の競争力を強化するためにも重要になる。
(2024/10/29 12:00)
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