(2024/10/29 12:00)
トピー工業の権田隆典氏は社歴46年のほとんどで改善活動に携わる。自動車、機械、建築などあらゆる業界向けの製鋼を担う同社は多品種を扱い、自動化設備の多用は難しい。事業の持続可能性を追求し改善を永遠のテーマに掲げる権田氏に次代の育成術を聞いた。
―仕事内容を教えて下さい。
「自らの経験を元に全社の自主管理活動(JK)とりまとめや階層別教育を構築・実施し、後進の育成に当たっている。私が入社した頃に比べ現場の人材は減り余裕がなく、挑戦しようとするマインドが衰退している。失敗を許す風土がないからだ。挑戦した者の失敗を許す風土が醸成されれば、品質不良も減り、工場のスパイラルアップにつながる」
―どのように機運醸成を推進しますか。
「階層別教育でなぜ事業を行うのかの『ミッション』、目指すべき姿の『ビジョン』、どう目指すかの『バリュー』を考え、価値観を共有する。ベクトルが一つに定まった現場は強い。2024年は坊主頭の強制なしで春夏連続甲子園出場を決めた慶応義塾高校野球部が描かれた本『Thinking Baseball』を全員が読み、同調圧力に負けずにいれば流れは変わる実例を皆で共有した」
―日本鉄鋼連盟が開くJK発表大会で最優秀賞のチームを輩出しています。
「自身が49歳の時に他の製鋼会社も所属するJK幹事会の幹事になり、最優秀賞を取りたいと考えた。製造所からの推薦で会社代表チームを決めていた仕組みを改め、予選会方式に変更。評価採点方式も見直し、審査マニュアルを作成した。時間はかかったが22年、23年は連続で最優秀賞を受賞できた」
―人作りの最たるものは。
「教育とは、やる気のきっかけを与えるもの。講習はやるが勉強は各自でやるしかない。各人の“やる気スイッチ”は私では押せない。10人が講習を受けても1―2人がやる気のきっかけをつかんでくれたら良い方だ。10人いれば10通りの違う講習をやらないと人は育たないと思っている。大切なのは仕事を好きになること。一度情熱を持って仕事を覚えると、仕事が楽しくなるはずだ」
(2024/10/29 12:00)
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