(2024/11/4 05:00)
意欲がありながら、さまざまな事情から就労困難な人を積極的に雇用する事業所を「ソーシャルファーム」として認証する東京都の制度がある。1人親世帯や障がいを持つ人などが必要なサポートを受けながら、他の従業員同様に働き、自律的な経営を行うことを後押しする。
全国に先駆け、2020年にこの制度を導入して以来、これまでに50余りの事業所を認証。社会に浸透させるため、それぞれの取り組みも発信する。5日にはデジタル分野で事業展開する認証企業と制度に関心のある企業との交流会も開催予定だ。
ソーシャルファームの発祥は1970年代のイタリアにさかのぼり、現在はドイツ、英国など欧州全体で約1万社に広がるという。韓国でも3000社ほどを数える。
ダイバーシティー(多様性)やインクルージョン(包摂性)の切り口で捉えられることが多かったが、人手不足が深刻さを増す中、企業側もより切実な問題として、こうした新たな経営形態に目を向けつつあるように感じる。
ますます限られる人的資源を最大限生かすには、個々の制約に配慮した雇用環境の整備が欠かせない。日本でも緒に就いた取り組みの中に、「気づき」を見いだしたい。
(2024/11/4 05:00)