(2024/12/17 12:00)
プレス工業川崎工場(川崎市川崎区)の組立二課に所属する永野治さんは入社以来、大型トラックの駆動に関わる部品「アクスルケース」の溶接に携わる。1977年の入社当初はラインに約40人いたが、自動化の推進や少子化の影響もあり現在は7人に。「溶接技術は見た目でなく中身が勝負。工程ごとに要求が違う点も奥深い」と日々鍛錬する。
同社が常時量産しているアクスルケースは100―200種。加工する板厚は10ミリ―17ミリメートル、溶接部の脚長は3ミリ―17ミリメートルと車種や仕様によって形状や求められるスペックが変わる。「最初は外観を良く見せようとするあまり、溶け込みの適切な寸法が分かっていなかった」と振り返る。溶け込み不足は強度不足につながり、その後の歪みを修正する工程で割れの原因となる。大型トラック部品にとっては致命的だ。
失敗を許容する先輩に恵まれたが、二度と同じミスを繰り返さないよう必死に技術を覚えた。スパッタの出方や音だけで判断ができるようになった。
アクスルケースのプラズマ切断や溶接部を平らにするグラインダー研削など4工程の自動化も主導。当時、機械メーカーも成し得ていなかった新たな挑戦だった。トライ&エラーの繰り返しで「現在の少ない人数で生産できる基盤ができた」。
後進の育成にも注力する。「プレス工業は育ててくれる会社。今がベストと思わず、挑戦と失敗を繰り返し、その先に成功する姿を見てみたい」と目を細める。
(2024/12/17 12:00)
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