(2024/12/18 05:00)
政府は17日、第7次エネルギー基本計画の原案をまとめた。「可能な限り原発依存を低減する」とした東日本大震災以降の表現を削除し、2040年度の原子力の電源構成は2割程度の目標を維持する。再生可能エネルギーは初めて火力を上回る最大電源に位置付けた。原子力と再生エネの脱炭素電源に軸足を置き、脱炭素と安定供給、経済成長の同時実現につなげたい。
他方、政府は25年2月までに温室効果ガス(GHG)の新たな削減目標を国連に提出する。現行の政府案では国連の目標に届かず、先進国の義務として削減幅の上積みも検討したい。
第7次エネルギー基本計画の原案は、経済産業省が17日の有識者会議で示した。24年度末の閣議決定を目指す。焦点だった40年度の電源構成は、再生エネ4―5割程度、火力3―4割程度、原子力2割程度とした。
原子力は第6次計画で示した2割を維持し、再生エネの電源構成は初めて火力を上回る。脱炭素に加え、人工知能(AI)の普及で急増する電力需要への対応や、23年度で15%のエネルギー自給率が40年度に3―4割に上がると期待したい。原発は「最大限活用」し、廃炉が決まった原発の次世代革新炉への建て替え要件も緩和するという。
安価な電力の安定供給は産業競争力を高めるだけに、今回の原案を評価したい。ただ原発再稼働や建設は安全確保と地元同意が大前提だ。津波を想定した避難路の整備や使用済み核燃料の最終処分地選定も進めたい。
政府は温室効果ガスの新たな削減目標について、35年度に「13年度比」で60%削減する案を軸に検討している。だが国連の気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)では35年に「19年比」で60%削減の目標を掲げている。日本は「13年度比」なら66%削減が必要になる。
25年はトランプ米次期政権のパリ協定再離脱が想定され、脱炭素の国際協調に不透明感も漂う。日本は第7次エネルギー基本計画の最終的な詰めの作業と並行し、温室効果ガスの削減幅も上積みし、先進国の責任を果たす数値目標を掲げたい。
(2024/12/18 05:00)
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