産業春秋/TSMC「もしトラ」リスク

(2024/2/8 05:00)

半導体受託製造(ファウンドリー)最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、日本国内での二つ目の工場を熊本県に建設する。同県の一つ目の工場は24日に開所式を開く予定だ。二つの工場で経済安全保障が一段と強化されると期待したい。

二つの工場への投資額は200億ドル(約2・9兆円)を超える見通しで、政府は追加支援を検討する。2工場の技術者らの雇用も3400人以上を見込む。関連企業の集積や地価高騰も含め、地域への大きな経済効果も期待される。

他方、TSMCにとって海外生産拠点の整備は、台湾有事を見据えたリスク分散でもある。中国の習近平国家主席は台湾統一の実現に武力行使も辞さない。1月の台湾総統選で勝利した親米の頼清徳氏を、独立志向が強いと警戒する。

TSMCは米国でも量産を予定する。だが、その米国がTSMCにとって懸念材料となりかねない。トランプ前大統領は「台湾に半導体産業を奪われた」と指摘する。同氏が大統領に再選されれば、日米台のサプライチェーン(供給網)に影響が及びかねない。

台湾有事と「もしトラ」のリスクに直面しているTSMC。日台は熊本県の2工場でさらに結束を強化していきたい。

(2024/2/8 05:00)

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